KiiLife試乗記
日産自動車
リーフG


【スペック】
リーフG 全長×全幅×全高=4480×1790×1540mm▽ホイールベース=2700mm▽車重=1520kg▽駆動方式=FF▽モーター=110kW(150PS)/3283〜9795回転、320Nm(32.6kg)/0〜3283回転▽1充電走行距離=400km(JC08モード)▽車両本体価格=399万600円

【試乗車提供】
日産プリンス和歌山販売田辺支店
(田辺市上の山1丁目8の16、0739・22・8132)

[2017年12月14日 UP]
 日産の電気自動車(EV)、新型リーフに試乗した。強力なモーターによる加速は静かで滑らか。駆動用バッテリーの容量を増やすことで、フル充電からの航続距離を280km(JC08モード)から400kmに伸ばした。さらに同一車線の自動運転機能や自動駐車機能など、最先端の自動運転技術を搭載した。

航続距離400キロ
 初代リーフは2010年12月に登場。リチウムイオンバッテリーでモーターを駆動し、フル充電で200km走ることができた。15年のマイナーチェンジでバッテリーの容量を大きくしたモデルが加わり、航続距離は280kmに伸びた。今回のフルモデルチェンジでは、エネルギー密度が67%向上した新しいバッテリーを採用。航続距離は400kmまで伸びた。
 モーターの最高出力は初代の80kW(109馬力)から110kW(150馬力)に、最大トルクも280Nm(28.6kg)から320Nm(32.6kg)に向上した。最大トルクは3リットルのガソリンエンジンに相当するが、モーターは回転を始めた時点で最大の力を出すので、発進や追い越しの加速はモーターの方が滑らかだ。
 リーフを自宅で充電するためには200ボルトの配線工事が必要。3kWと6kWの2タイプがある。バッテリーの残量警告灯が点灯してからフル充電にかかる時間は3kW充電器で16時間、6kW充電器で8時間。道の駅やコンビニ、高速道路のサービスエリアなどに設置されている急速充電器を利用すると、40分で80%まで充電することができる。
 17年3月末時点の充電器数は急速充電器約7100基、普通充電器約2万700基という。最寄りの充電ステーションは車載のナビゲーションで検索することができる。バッテリーの寿命については8年16万kmを保証している。
 車両価格が割高になるEVだが、購入には国の補助金やエコカー減税、自動車税減税がある。リーフはグレードによって最大約55万円の優遇が受けられる(17年12月現在)。

自動駐車機能も
 新型リーフの車体は全長4480mm、全幅1790mm、全高1540mm。先代に比べて全長は35mm、全幅は20mm大きくなり、全高は10mm低くなった。V字型のグリルや水平基調のキャラクターラインを採用し、コンパクトカーのノートやSUV(スポーツ用多目的車)のエクストレイルなどと共通するデザインになった。
 試乗車は最上級のGグレード。同一車線自動運転のプロパイロットや、自動で駐車位置に車を止めてくれるプロパイロットパーキングを標準装備している。
 試乗前に、販売店のスタッフにプロパイロットパーキングを実演してもらった。駐車したいスペースの手前で1回パーキングスイッチを押し、ゆっくり前進して真横に停止すると準備OK。次にパーキングスイッチを押し続けるとアクセルやブレーキ、ステアリングの切り返しを車が自動的にやってくれる。その運転は見事で、駐車スペースのど真ん中にぴったり入った。手を触れていないのにステアリングがくるくる回る様子は手品を見ているようだ。
 プロパイロットは紀勢自動車道で利用した。巡航速度に達してからセットスイッチを押すと、アクセルやブレーキ、ステアリングの操作なしに一定速度で車線の中央を走行してくれる。カーブでは、車がステアリングを操作している手応えが伝わってくる。設定速度よりも遅い先行車がいると安全な車間距離を保ちながら追随走行してくれるので、長距離ドライブでの疲労も少ないだろう。
 この機能はステアリングをきちんと握っていないと警告が出て一時解除される。試乗車は解除の条件が以前試乗したセレナより敏感だったようで、両手でステアリングを握っていたのに何度か警告が出た。

上質な乗り心地
 新型リーフはアクセルペダルだけで発進、加速、減速、停止をコントロールできるeペダルを採用している。信号や一時停止が多い街中の走行でも右足をブレーキペダルに踏み換えることがほとんどないので、慣れるととても便利だ。カーブが連続する山道も、アクセルだけで加速とブレーキを調節しながらテンポ良く走ることができる。
 eペダルの機能を解除した走行ではアクセルを閉じても減速しないので、ブレーキを踏むまで車が空走するような感覚になる。一度eペダルを利用すると通常走行の方が不自然に感じてしまうほどだ。
 モーターの出力向上により加速は一段と力強くなった。3リットルガソリンエンジン並みのトルクをスタートの瞬間から発揮してぐいぐい加速する。追い越し加速でもモーターがアクセルに即座に反応するので気持ち良く走ることができる。
 乗り心地は上質。サスペンションは荒れた路面のざらつきや細かい振動を包み込むように吸収してくれる。車内に入り込む騒音や風切り音もよく抑えられており、無音のモーターと合わせて快適な車内空間を作り出している。
 EVは、エンジンオイルやフィルター、ミッションオイルといった消耗品の交換がないので維持費は意外に安いという。毎年の自動車税も1リットル未満のガソリン自動車と同額だ。
 各種の先進機能を搭載した新型リーフだが、先代のオーナーが最も評価するのは航続距離が400kmに伸びた点だ。EVの「電費」はガソリン車の燃費と同様にカタログ値の7割から8割程度。長距離ドライブでは途中で何度か充電する必要がある。電池の減り具合を気にしながらのドライブはストレスになるだろう。航続距離のさらなる延長と充電時間の短縮が実現すればEVの魅力は一段と増してくる。

リポータープロフィル
  【長瀬稚春】 運転免許歴42年。紀伊民報制作部長