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KiiLife試乗記
スズキ
ジムニー


【スペック】
全長×全幅×全高=3395×1475×1725mm▽ホイールベース=2250mm▽車重=1040kg▽駆動方式=パートタイム4WD▽エンジン=658cc水冷3気筒DOHCターボ、47kW(64馬力)/6000回転、96Nm(9.8kg)/3500回転▽トランスミッション=4AT▽燃料消費率=13.2km(WLTCモード)▽車両本体価格=184万1400円

【試乗車提供】
スズキアリーナ田辺・田辺スズキ販売
(田辺市下万呂567、0739・22・4416)

[2018年9月13日 UP]
 20年ぶりにフルモデルチェンジしたスズキの四輪駆動車(4WD)ジムニーは、本格的な悪路走行性能を備えた世界で唯一無二のコンパクトカー。7月の発売からこれまでに1年分の生産台数を超える注文があり「これから発注を受けても納車には相当時間がかかりそう」(販売店)という人気だ。

一段とたくましく
 ジムニーが誕生したのは1970年。今でこそ4WDの軽自動車は当たり前だが、当時としては画期的だった。初期のモデルは排気量360ccの2サイクル2気筒エンジンを搭載。6年後に3気筒、550ccに拡大された。2代目は81年、3代目は98年に登場した。エンジンは86年から4サイクル3気筒ターボになった。
 今回発売されたのは、排気量660ccのターボエンジン(64馬力)を搭載したジムニーと、1500cc(102馬力)のエンジンを搭載したジムニーシエラ。
 いずれも、車体の骨格には耐久性に優れたラダー(はしご形)フレームを採用している。一般的な四輪駆動の乗用車やスポーツ用多目的車(SUV)は車体全体が構造材を兼ねるモノコック構造を採用している。軽くて丈夫な半面、不整地の激しい走行などで車体の一部がひずむと走れなくなる恐れがある。
 これに対してラダーフレームの車は、エンジンや足回りを取り付けたフレームの上に車体を載せている構造なので、衝突で外装が変形してもフレームが無事であれば走ることができる。トヨタのランドクルーザーや米国クライスラー社のジープ、メルセデス・ベンツのGクラスなど耐久性に優れたモデルに採用されている。新型ジムニーは今回のモデルチェンジでラダーフレームを新設計し、ねじり強度を5割向上させたという。
 エンジンは縦置きで、二輪走行時は後輪を駆動するFR(フロントエンジン、リア駆動)方式。2WDから4WDへの切り替えは機械式の副変速機を使う。常に四輪を駆動するフルタイム4WDに比べて悪路での脱出性能が高いことに加えて、構造が単純なので壊れにくい。
 ぬかるみや雪道で車輪が空転して脱出が難しくなった場合には、空転した車輪だけにブレーキをかけてもう一方の車輪の駆動力を確保するブレーキLSDトラクションコントロールが働く。
 サスペンションは、左右の車輪を連結した3リンクリジッドアクスル式サスペンション。独立懸架式サスペンションに比べて乗り心地で劣る半面、丈夫で壊れにくく、悪路の走破性が高いという特徴を備えている。

四角い車体に丸形ライト
 先代(3代目)のジムニーは曲面を多用したデザインだったが、新型は直線基調の箱形に先祖返りした。丸形のヘッドライトの採用と合わせて、ベンツのGクラスやジープにも共通する懐古調の機能美を感じる。車体の寸法に制約がないシエラは、大きく張り出したオーバーフェンダーとサイドアンダーガーニッシュを採用。一段とたくましく見える。
 四角い車体は運転席から前後左右の確認がしやすく、ボンネットがよく見えるので車幅の感覚もつかみやすい。見切りがいいので、狭い林道などに乗り入れた際の切り返しも楽だ。最近はリアカメラがないと後方確認が難しい車が増えているが、ジムニーにはそういった不安はない。
 もう一つの大きな進化は安全装備の充実だ。歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報、ふらつき警報、誤発進抑制、標識認識、先行車発進お知らせ、ハイビームアシストの機能を上級グレードに標準装備。その他のグレードにも装着車を設定している。

乗り心地が向上
 試乗車は最上級グレード「XC」の4速オートマチック(4AT)。車体色はXCだけに設定されているピュアホワイトパールという特別色だった。ジムニーには用途に応じて、吹雪や濃霧でも目立つキネティックイエローや、森の中で目立たないようにするジャングルグリーンという色も設定されている。
 今回の試乗では不整地を走る機会がなく、舗装路だけの試乗記になることをあらかじめお断りしておきたい。ジムニーをもっぱら日常の足に利用する人には参考になるかもしれない。
 室内は黒で統一されており、外観と同様に水平基調のデザインを採用。シンプルだが安っぽさはない。パワーウインドーのスイッチがドアノブの付近ではなく、インパネ中央の空調スイッチの下にあったのには少々戸惑った。ドアを開閉した際に雨でスイッチがぬれて故障するのを防ぐためだろう。
 660ccのターボエンジンは、低回転から大きいトルクを発揮するように専用にチューニングされている。最高出力は64馬力あるが、車重が1トンを超えるので活発な走りは期待できない。平地では十分と思っても、上り坂ではもう少しパワーが欲しいと感じる。4ATはエンジン回転が低めに制御されるので余計に力不足を感じる。できれば手動ミッションで乗りたいところだ。
 感心したのは乗り心地と操縦性。かつて2代目のジムニーを仕事に使ったことがあるが、舗装路のカーブでは外側に強く引っ張られて思うように曲がらず、凹凸のある林道ではシートの上で体が飛び跳ねるほどサスペンションが堅かった。
 ところが新しいジムニーの乗り心地はまずまずで、車内も並みの軽乗用車よりも静かなくらいだ。舗装路のカーブでは当たり前のようにスムーズに曲がってくれる。着座位置が高いので前方の見晴らしが良く、普段使いの車としてストレスなく乗ることができる。四角い形をしているので、狭い駐車スペースにも止めやすい。
 後部座席には大人2人が座れるが、長時間の乗車には適さない。2人乗りと割り切り、後部座席を荷室に使うのが実用的な使い方かもしれない。
 販売店によると、過酷な利用を想定したジムニーだが女性にも人気があり、スタイルや雰囲気が気に入って購入するケースもかなりあるという。不整地は走らないので「4WDでなくてもいい」という声もあるそうだ。
 メーカーは、これから発注した場合の納車時期を公式にアナウンスしていないが、最低でも半年から1年はかかりそうだ。乗り換えの場合には下取り車の車検時期を考えて早めに発注した方がよさそうだ。

リポータープロフィル
  【長瀬稚春】 運転免許歴43年。紀伊民報制作部長