職人一家に育つ
「お父さんのおかげで商売ができるんやで、と良く言われますよ」。新藤整市社長は、田辺市文里1丁目の事務所でインタビューに応えました。父恒一郎さんは名棟梁として知られ、叙勲の栄にも浴しています。大工一筋の父の背中を見て育った新藤社長は、大阪府内の建築設計事務所に勤務した後に帰郷。設計とマネジメントを担当し、20年前から家業を盛り立ててきました。大工の技術は、弟の進弘さんが恒一郎さんから引き継ぎました。

紀州の山を守りたい
そんな新藤社長が2000年に出合ったのが、紀州産のスギ、ヒノキを積極的に一般住宅に利用する「木の国の家」です。田辺商工会議所の地域振興活性化事業推進委員会の提案でした。和歌山県内の山にスギ、ヒノキが植林されたのは1950〜60年代。広大な面積の自然林が、人間が手を入れ続けなければ荒廃してしまう人工林に変わりました。新藤さんは、「50〜60年生になった紀州材を積極的に使わなければ、紀州の山は死んでしまう」という提案に共感したのです。
委員会の代表を務めた建築士、中村伸吾さんが設計した家には驚きました。それまでの日本建築の常識は、節が多い材料は見えない所に使い、目に触れる所はきれいに整えるというものでした。ところが、中村さんの設計した家は、節をそのまま堂々と表に出しています。「節が見える家を建てるというのは、大工にとって許されないことでしたから、ショックを受けました」と新藤社長は話します。

強度に優れ、湿度を調節
もちろん、新藤社長の自宅も紀州材を使った家です。紀州材の良さはどういうころでしょうか。
「実際に住んでみると、木が湿度を調節してくれることを実感します。梅雨時でも室内がべたついた感じがしません」
曲げや圧縮の強度に優れ、見た目も美しいのが紀州材の特徴です。シロアリの食害が輸入材に比べてはるかに少ないという点も安心につながります。天然素材なので、アレルギーのある子供がいても、シックハウスを気にしなくて済みます。

欠点も説明
もちろん、欠点もあります。良く乾燥していて、しかも節のきれいな紀州材を大量に確保するのはなかなか難しいことです。今は、コスト削減のため製材所が在庫をあまり持たないからです。材料の確保から始めるので、工期はどうしても長めになります。むくの紀州材は生き物なので、家を建てたあとも乾燥が進み、ひび割れが出たりします。価格も輸入材や合板を使った家に比べると割高になります。家の建築費は設計によって千差万別ですが、新藤工務店では、1坪当たり55万円が一つの目安になります。新藤社長は、こういった欠点も施主に十分に説明した上で紀州材を薦めています。

誠実でありたい
「どんな工務店を目指していますか」という質問に新藤社長は即座に答えました。
「誠実にお客さんと向き合う工務店です」
「それでは、これから家を建てようという方へのアドバイスは?」
「住まいを建てるのは多くの方にとって一生に一度のことなので、後悔のないようにプランづくりにじっくりと時間をかけてください。もう一つは、地元の工務店を使ってください。どの工務店も、建築の坪単価にかかわらず質の高い仕事をしてくれるはずです」

企画・制作 紀伊民報マルチメディア事業部
○法人名
有限会社新藤工務店
○住 所
和歌山県田辺市文里1丁目23-40
○電話番号:0739-22-3037
○営業時間:AM8:00〜PM6:00
○取り扱い工事
 住宅設計施工
 店舗設計施工
 リフォーム(増改築)
○加盟団体
 田辺建築業協同組合
 辺建設業協同組合
 和歌山県建築士会
 (財)住宅保証機構
○免許番号
 和歌山県知事許可(般-14)
 第11569号